自己破産
自己破産とは
自己破産とは、借金を負っている方やそのご家族が,これからの生活を安心して送れるようにするための手続きです。
裁判所に自己破産の申立てをし,裁判所から免責の決定を得ることにより,申立ての時に負っていた借金は, そのほとんどが支払わなくてもよいことになります。
いったん免責の決定を受ければ,申立ての時以後の収入や,取得した財産は,借金の返済のためではなく,すべてその人とご家族の生活のために使うことができます。
自己破産手続には,破産申立の時点において換金できる財産がない方が利用する「同時廃止」という手続と, 換金できる財産がある程度ある方等が利用する「管財手続」という手続の2種類があります。
自己破産に対する誤解・・・「破産だけはしたくない」
「破産」,「破産者」という言葉には大変悪いイメージがあるため,相談者の中には,「破産だけはしたくない, 破産者だけにはなりたくない」と言われる方も多くいらっしゃいます。しかし,そのイメージは誤解に基づくものがほとんどです。たとえば,破産者となっても・・・
- 戸籍や住民票に載ることはありません。
- 選挙権や被選挙権が失われることもありません。
- 健康保険の被保険者資格,年金の受給権,子ども手当や生活保護を受ける権利などにも影響はありません。
- わずかの例外を除いて職業上の制限もありません。
※自己破産手続は,その人個人に関するものであるため, ご家族やお子さんが破産者になることもなく,破産手続を取ることで支払わなくてもよくなった債務を, 家族や他の親族が代わって支払わなければならないこともありません。
破産をすると身ぐるみはがれ,家財道具も取られてしまうのではないか,とご心配の方もいらっしゃいますが,現在の破産法では, 「売ったり,解約したりすれば20万円以上で処分できる物」だけ財産を財産と見なしていますので, 「買い手のない物」, 「売っても20万円にならない物」について,処分して換金したり,取られたりすることはないのです。 破産をする本人以外の家族が所有している物を売らなくてもよいことは,もちろんです。
自己破産のデメリットと捉えるのではなく・・・
一方で,自己破産手続が,本人とご家族の生活に重大な変化を与えることも,ケースによってはあり得ます。
- 自己破産をする本人が自宅などを所有している場合は,住宅ローンを支払っているか否かにかかわらず, いずれは不動産を失うこととなります。
- 個人で事業をしている場合や,法人として事業をしており,その代表者となっている場合などには, 仕事自体を変えなければならないケースが多くあります。
しかし,自己破産によって債務整理をはかることが必要な方のほとんどは, すでに住宅ローンの支払いが滞っていて,いずれ不動産を失わざるを得なかったり, 事業の不振が債務超過の最大の原因であって,事業の継続それ自体が困難であったりします。
自己破産を取ることの結果,そのようになるというよりも,結論として避けられないものであると受け止めていただくのが大切であると考えます。